七月七日に十六歳でつづみの母になった彼

2018年3月6日

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大島弓子先生のさようなら女達に収録されているこの「七月七日に」は、戦時中の少女の目を通して時の移ろいを情感豊かに表現された作品です。

昭和十八年、十三歳のつづみは最近になって、継母の様子が変である事に気が付きます。夜中に自分の部屋で泣いているのです。周囲が吃驚する位の長身で、美貌の持ち主である継母とは、血は繋がっていなくても、相思相愛の仲の良い母と娘なのでした。

幼馴染の桃太郎が、「自分の兄さんも、最近夜中に溜息ついて・・。」と、自分の兄の健太郎も同じであると言い、「二人は相思相愛なんだよ!明日、兄さんの誕生会に二人で来て!」と、健太郎とつづみの母をお見合いさせようと計画するのです。

桃太郎もつづみに「将来いつかお嫁さんになってくれたまえ。」と告白します。勿論、つづみは快諾するのです。この時代は、明日がどうなるのか分からない不安と恐怖が常日頃から人々の心を覆っているのが、子供同士の本気か冗談かも分からない遣り取りから伝わって来ます。

健太郎の誕生会と桃太郎とつづみが婚約した翌日、健太郎に召集令状が来ます。「僕は、必ず生きて帰って来ます!」と、仲が良くなって来たつづみの母を抱きしめます。その日の夜は、皆で健太郎の出征祝いをしました。

その翌日の夜中、母が生前の父の遺品のシャツ、ズボン、靴下、靴に着替えて、長かった髪を切り、満月の光りに照らされた母が川辺に居る姿を目撃したのです。長身なのは男性であった為でした。最近泣いていたのは、召集令状が来たので、つづみと別れなければならなかったからなのです。

昔、つづみの父を好きだった彼は、つづみの父が亡くなり、忘れ形見である一人娘のつづみを三歳の七月七日から、後妻として育てて来たのです。

この作品は、戦時中を生きた人にしか分からない複雑な感情を、沢山物語の随所に見出す事が出来ます。